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東京地方裁判所 平成3年(特わ)1478号 判決 1992年2月12日

本店所在地

東京都新宿区歌舞伎町一丁目九番一〇号

有限会社

新愛商事

(右代表者取締役 濱田朗)

本籍

東京都中野区上鷺宮四丁目一番

住居

同区上鷺宮三丁目六番三三号

会社役員

室井泉

昭和二四年一一月八日

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官古賀正二出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社新愛商事を罰金一五〇〇万円に、被告人室井泉を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人室井泉に対し、この裁判確定の被告人から四年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社新愛商事(以下、被告会社という)は、東京都新宿区歌舞伎町一丁目九番一〇号に本店を置き、登記上の目的を喫茶店の経営等とし、風俗関連営業であるいわゆるファッションヘルス店を営む資本金一〇〇万円の有限会社、被告人室井泉(以下、被告人という)は、平成二年三月まで被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していた者であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空の修繕費や広告宣伝費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六二年一〇月一日から同六三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五七一四万二五〇六円であった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六三年一一月三〇日、同区北新宿一丁目一九番三号所轄新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一五万五二円で、これに対する法人税額が一五四万五〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第一〇四〇号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二三〇三万九六〇〇円と右申告税額との差額二一四九万六四〇〇円(別紙3<1>脱税額計算書参照)を免れ

第二  同六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八〇一八万七一五六円であった(別紙2修正損益計算書参照)のにかかわらず、平成元年一一月二二日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四七六万六七三七円で、これに対する法人税額が一四二万七六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三二七一万六三〇〇円と右申告税額との差額三一二八万八七〇〇円(別紙3<2>脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  第一回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(九通)

一  藤山里恵、酒井香寿恵、濱田朗、鈴木正一、大森健、黒須一義の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  売上高調査書

2  事務員給与調査書

3  従業員賞与調査書

4  地代家賃調査書

5  通信交通費調査書

6  水道光熱費調査書

7  接待交際費調査書

8  備品・消耗品費調査書

9  管理諸費調査書

10  雑費調査書

11  支払利息調査書

12  交際費の損金不算入額調査書

13  事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(事業税認定損について)

一  登記官作成の被告会社の商業登記簿謄本

一  収税官吏作成の証拠品提出書

判示第一の事実について

一  夏目三樹雄の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の修繕費調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(修正損益計算書について・昭和六三年九月期に関するもの)

一  押収してある昭和六三年九月期分の法人税確定申告書一袋(平成三年押第一〇四〇号の1)

判示第二の事実について

一  安孫子教行、大村常雄の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の広告宣伝費調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(修正損益計算書について2・平成元年九月期に関するもの)

一  押収してある平成元年九月期分の法人税確定申告書一袋(前同押号の2)

(法令の適用)

罰条 被告会社

判示第一及び第二の各行為につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

被告人

判示第一及び第二の各行為につき、いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人

各懲役刑を選択

併合罪の処理 被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人

刑法二五条一項

訴訟費用の負担 被告会社・被告人

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西田眞基)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和62年10月1日

至 昭和63年9月30日

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 昭和63年10月1日

至 平成元年9月30日

<省略>

別紙3

脱税額計算書

<1> 自 昭和62年10月1日

至 昭和63年9月30日

<省略>

<2> 自 昭和63年10月1日

至 平成元年9月30日

<省略>

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